特定は、うっかりの一言では起きない
住所や本名の特定は、1回の大失敗で起きるものだと思われがちです。実際は違って、それぞれは無害な情報の足し算で起きます。
たとえば。プロフィールの地域設定(都道府県だけでなく、市区まで登録できます)、雑談で出た「最寄りのスーパー、〇〇なんだよね」、夕方の配信にたまに入る電車の音、窓の外にちらっと映る特徴的な建物。ひとつひとつは、どこの枠にもあるふつうの雑談と風景です。でも足し算すると、かなり細かく絞れてしまう。
だから守り方も「この一言が危ないか」ではなく、「すでに出ている情報と足し算されたらどうか」で考えます。ここが分かると、対策は毎回の緊張から、一度の設計に変わります。
情報が出ていく経路は4つ
映像。窓の外の風景、テーブルの上の郵便物や宅配の伝票、制服、鏡やメガネへの映り込み。
音。電車や踏切、学校のチャイム、家族の呼び声。音は自分では聞き慣れていて、一番気づきにくい経路です。一度、自分のアーカイブを「初めて聞く人のつもり」で聞いてみると、毎日出ている音が見つかることがあります。
発言。駅名や店名など、地域設定より細かい場所の話。それから「今から〇〇に行ってくる」というリアルタイムの外出情報。出かけた話は、帰ってから過去形でする、と決めておくだけで安全度が変わります。
SNS。写真の背景と、昔の個人アカウントとのつながり(同じ写真、同じユーザー名)。配信用のアカウントは、個人アカウントと素材を共有しないのが原則です。
線を引くのは、黙るためではない
身バレ対策と聞くと「何も話せなくなりそう」と感じるかもしれません。実際は逆です。話していい範囲の線を先に引いておくと、線の内側では安心して思い切り話せるようになります。
毎回「これ言って大丈夫かな」と考えられている時点で、危険を察知する感覚はもう働いています。ただ、それを話しながら毎回やっていると、判断のぶんだけ配信の歯切れが悪くなる。冒頭の「頭の中で考えてしまう」状態は、まさにこれです。線を引くのは、その判断を毎回の緊張から一度の設計に移す作業で、沈黙のための作業ではありません。
安全は、毎回の緊張で守るものではなく、一度の設計で守るもの。設計した分だけ、あなたの雑談は自由になります。
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