Pocochaは「応援したくなる」ようにできている
以前の記事で、人が投げ銭をする動機は「認知・返報性・地位・所属・貢献」の5つに分解できると書きました。今回はその続きで、Pocochaがこの心理を仕組みのレベルでどう増幅しているか、です。代表的な設計を4つ見てみます。
細かい仕様は時期によって変わります。正確な値はアプリ内と公式ヘルプで。この記事は構造の理解に絞ります。
毎日締め切りが来るランクは「守りの応援」を生む
行動経済学の有名な発見に損失回避があります。人は同じ大きさなら、得の喜びより損の痛みをおよそ2倍強く感じる。Pocochaのランクメーターは毎日ゼロから始まり、届かない日が続けばランクが下がるので、この「損の痛み」が毎日訪れます。
だからPocochaの応援には他のプラットフォームにない色があります。「素敵だったから投げる」に加えて、「この人に失わせたくないから投げる」が主燃料のひとつだということ。締めが近づくほど、応援はプレゼントから防衛に変わります。今日が攻めの日か守りの日かをリスナーと共有すること自体が応援の量を左右するのは、この構造のためです。
見えるメーターは「あと少し」の科学を起動する
ゴールに近づくほど人の努力量が増える現象を目標勾配効果と呼びます。カフェのスタンプカード実験では、スタンプが残り少ない客ほど来店間隔が縮まりました。「あと〇〇ポイント」が数字で見えているPocochaの画面は、この効果の教科書的な発動条件です。
この実験には続きがあって、最初から2個押してあるカードは、まっさらなカードより完走率が高くなりました。「もう進んでいる」と感じるだけで、人は完走したくなる。「今日ここまで来てる」の共有はお願いではなく、この心理の起動スイッチです。
コインを使わない応援が「貢献の階段」の一段目
Pocochaでは、視聴・いいね・コメント・所持アイテム(コインを使わずに送れるアイテム)・コインで使うアイテムと、貢献の階段が途切れなく続いています。心理学ではフット・イン・ザ・ドアと呼ばれる現象で、小さな行動を重ねた人は「この枠を応援している自分」というセルフイメージを毎日更新していきます。投げ銭はゼロから起きるのではなく、この階段を登った先で起きます。
だから、いいねやコメントだけの人は、将来の応援の心理的な仕込みがいちばん進んでいる人でもあります。所持アイテムへのお礼を、コインを使ったアイテムと同じ質で返す意味も、ここにあります。一段目のお礼が軽くなると、階段そのものが細くなってしまいます。
ゲームの正解は「みんなで支える枠」
コアファンは毎月リセットされます。ここでも損失回避が働いて、その場所を守りたい気持ちが毎月立ち上がります。
応援ポイントの計算式は公開されていませんが、公式が挙げている指標の例には「応援している人数」「リスナーのうち応援に参加した割合」「新規と既存の割合」が並びます。少数の大口ではなく、参加している人の数と広がりを見ていると読める並びです。一人に支えてもらう枠より、みんなで支える枠。そう読めるように部品が揃っています。
バラバラの仕様に見えて、全部が応援の心理と噛み合った一つの設計です。仕様は覚えるものではなく、読むもの。「なぜそうなっているか」で理解しておくと、今日の配信でどの設計を味方につけるかという発想ができるようになります。
なお、土台になっている5つの動機(認知・返報性・地位・所属・貢献)は、それぞれ一本ずつ、この後の記事で深掘りしていきます。仕組みの話は今日でいったん区切りで、次からは人の心の側の話です。
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