古参が静かに減る枠で、起きていること

こんな人に: 新しい人は入ってくるのに、長くいてくれた常連さんが少しずつ来なくなっていると感じるライバーさんへ。

心理学に、人が関係に惹かれ続ける理由を説明した理論があります。燃料になっているのは、相手そのものへの好意だけではなく、その関係を通じて自分の世界が広がる体験だという考え方です。

カップルを対象にした実験があります。目新しい活動を一緒にしたペアは、いつも通りの平凡な活動をしたペアより、そのあとの関係の満足度が上がりました。何をしたかより、初めてを一緒にやったことが効いていた、という結果です。

ここから、関係の停滞についての読み方が出てきます。停滞の正体は、気持ちが減ったことではなく、新しい体験が止まったことかもしれない。

毎日会っているのに、減っていく

配信に置き換えると、少し怖い話になります。

まず前提として、人が離れる理由の多くは枠の外にあります。生活が変わった、仕事が変わった、配信を見る習慣そのものが変わった。こればかりはどうにもなりません。

そのうえで、枠の側に理由があるとしたら何か。「嫌いになった」ではないことが多いはずです。人は繰り返し顔を合わせるだけでも相手を好きになっていくので、毎日来てくれていた人は、その条件を満たし続けていたことになります。それでも減るなら、止まっているのは別のものです。

枠のなかで新しいことが起きなくなった。ひとつの見方として、これがあります。

しかもやっかいなのは、枠がうまく回っているときほど気づきにくいことです。回し方が固まって、常連さんの席が決まって、毎日心地よく進んでいる。その状態は土台としては理想ですが、初めてが生まれにくい状態でもあります。

イベントは、新しい人を呼ぶ前に、常連さんのためにある

この視点を入れると、イベントやマイイベや新しい挑戦の意味がひとつ増えます。

あれは数字を取りにいく装置である前に、常連さんと「初めてのこと」を一緒にやるための装置です。初めてのランク帯への挑戦、初めての企画、初めての記念日。

だから、勝てなくても意味があります。数字が残らなくても「あれを一緒にやった」という歴史は残るからです。そして歴史は、あとから来た誰にも取れません。特別扱いを順位で作ると誰かに抜かれますが、一緒の初めては誰にも抜かれない特別扱いになります。

記念日を大事にしてきた枠、無謀な挑戦をみんなでやってきた枠は、もうこれを使えています。効いていたのは企画の出来だけではなく、初めてを一緒にやったこと自体でもあった、ということです。

配信でやるなら今月のうちに、常連さんと「初めてのこと」を1つ作る。大きくなくて大丈夫です。やったことのないゲーム、行ったことのない時間帯の配信、誰かのリクエストで初挑戦する曲。終わったら「初めてだったね」と言葉にして残しておく。あとから振り返れる出来事が、ひとつ増えます。

毎日会えていることは、それだけで大きな土台です。あとはそこに、今月の「初めて」がひとつ乗るかどうかだと思います。

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