カメラとの距離は、リスナーとの距離
ビデオ会議の疲れを論じたスタンフォード大学の論文(2021年)に、配信にそのまま使える指摘があります。画面の中の顔が大きく映っていると、見ている側は「相手が物理的にすぐ近くにいる」と受け取って、緊張状態になる、というものです。
考えてみれば当然で、対面で顔を30cmまで近づけて話すのは、家族か恋人か、けんかの相手だけです。人は顔の大きさから相手との距離を測っていて、その感覚は画面の中の顔にも同じように働きます。
つまり、カメラとあなたの距離は、リスナーさんが感じる「あなたとの距離」そのものです。近すぎる顔は親密を通り越して圧迫になり、逆に体全体が小さく映る遠さは、他人の距離になって親密さが出ません。
雑談配信の基準は「テーブルを挟む距離」
ちょうどいいのは、カフェでテーブルを挟んで話すくらいの距離感、画面でいうと胸から上が映るくらいです。物理的にはスマホから40cm以上、高さは目線。下から見上げる角度は顔映りが悪いうえ、首も痛めるので、スタンドで目の高さに上げるのが基本です。
そのうえで、距離は固定ではなく演出に使えます。ここだけの話をするときに少し顔を近づける。企画で動くときは引く。これは考えてやっているというより、自然と体が動いている人が多いと思います。距離の変化は「近づいた」「改まった」という非言語のメッセージとして、ちゃんとリスナーさんに届きます。普段の基準があるからこそ、変化が意味を持つわけです。
「近いほど親密」ではない、が今回の発見
ライブ配信は距離の近さが売りのメディアなので、「顔が大きく映るほど距離が近くて良い」と思いがちです。でもこの論文が指摘しているのは逆で、近すぎる顔は見る側に負荷をかけます。長時間の視聴で「なんとなく疲れる枠」と「ずっと見ていられる枠」の差の一部は、話の内容ではなく、この顔の距離設定にあるかもしれません。
ながら視聴・作業しながらの視聴が多いこの世界では、「ずっと付けていられる距離感」はそれ自体が強みです。ラジオのパーソナリティが耳元で叫ばないのと同じ理屈です。
カメラの位置は、機材の話に見えて、実は接客の話です。あなたがリスナーさんの隣に座るのか、テーブルを挟んで向かいに座るのか。それを毎晩決めているのが、スマホスタンドの位置なんです。
配信のこと、記事のこと、聞いてみたいことがあったらどうぞ。ここはコメント欄ではないので、書いたことがこのページや他の場所に表示されることはありません。読むのは、書いている人(ちゅっぱ)だけです。名前もログインもいりません。いただいた質問に記事の形で答えることがありますが、そのときも文章をそのまま載せることはしません。
届きました。読んでくれて、送ってくれてありがとうございます。